Overview Coffeeによるコーヒーディレクション

Overview Coffeeによるコーヒーディレクション

2023年8月17日、東京・池尻大橋にカフェ・ワインバー・レストランと様々な顔をもつ飲食店〈Massif〉が誕生しました。日本語では「山塊」を意味するMassifですが、名前の通りに歴史を感じる石造りの壁面や柱が印象的です。もともと一面壁で光を塞いでいた通り側の面は、引き戸のガラス扉にかわり日中は優しい自然光によって室内全体が開かれた印象になりました。

Massifは2022年1月に東京・日本橋にオープンしたベーカリーカフェ〈Parkklet〉の企画・デザインから運営までを一気通貫して行う〈Terrain〉が手掛ける2店舗目として誕生しました。Terrainは、その土地、風土、コミュニティを照らし出すことを核に、分野を横断して生産者やシェフ、バリスタ、醸造家といった「食」に携わる専門家と共に、「食」の観点から自然と人と文化の持続的な共存関係を目指しています。

Overview Coffeeはチームのメンバーとして Parklet と Massif 両方のコーヒーとビバレッジプログラムを監修しています。お店におけるコーヒーの位置づけを定めるところからはじまり、コンセプトを表現するためのメニューディレクションやクオリティコントロール、テクニカルな部分を下支えするためのコーヒートレーニングを行っています。

また、店舗設計の初期段階ではコーヒーの抽出やコミュニケーションに集中できるような環境づくりに注力します。コーヒーカウンターのレイアウト・デザインから、作業性に優れたコーヒー器具の選定まで、安定して美味しいコーヒーを提供するための導線は、プロジェクト初期段階の決定が開業後の日々の営業に大きく作用します。

特にエスプレッソビバレッジの抽出は反復する要素が多いため、動作をコンパクトにすることで業務の精度と味わいの再現性を高めます。初期段階に決定したレイアウトや機材は開業後の変更が難しいことが多いので、ディスカッションを重ねながら、実際の動作を予測して図面に落とし込みます。

 


パートナーの開業サポート

Overview Coffeeでは、パートナーが新店舗を開業する際に同様のサポートをしています。その際は特にコミュニケーションを重視し、店舗におけるコーヒーの役割をはっきりとさせます。大きなプロジェクトになるほど、コンセプト設計者とプロジェクトマネジメント担当者が異なるケースがあります。また、日々店舗を運営するバリスタはプロジェクトの途中から加わることが多く、初期段階で決定が必要な導線の設計や機材の選定は私たちが適切な提案をすることで、コーヒーの役割と品質のバランスを定めていきます。

例えば、コーヒーが主役となるカフェであればエスプレッソマシンは必須となることがほとんどで、機材スペックの比較や、どこまで自動化するかを擦り合わせます。立地や提供杯数、スタッフの人数や経験値、予算によって最適な機材選定をプロジェクトごとに整理します。同じ飲食業でもレストランはコーヒーの役割が異なり、ペアリングを重視した表現したい味わいから抽出方法まで様々です。

 

Massifを表現するための有機的なバーカウンター

Massifは朝から夕方にかけてはカフェの印象が強いですが、店舗のコンセプトとしては夜が中心のレストランであり、ワインバーです。そのため、コーヒー、ワインバー、レストランという多機能な店舗を作るにあたり、バーカウンターはシームレスな動きができることを重視しています。通常、バーカウンターの上で存在感がでてしまうエスプレッソマシンですが、カウンター下にモジュールを収めるビルトイン型のエスプレッソマシン〈modbar〉を採用することで、グループヘッドとスチームノズルだけのミニマルなカウンターを表現しました。これにより、コーヒーメニューのバリエーションや品質は保ちながら、ソムリエやサービススタッフも働きやすく、オペレーション効率の高い環境になりました。

バーカウンターのサイズやレジとの位置関係、スタッフの人数によってエスプレッソマシンを設置する最適な位置も店舗ごとに異なります。Massifの場合はあえてレジとエスプレッソマシンの間隔をあけることで、空間全体の開放感を生むと同時に、お客様とのコミュニケーションが取れる接点を広く授けています。



ミルクが選択できるという、新しい提案

設計以外の部分では、ソフトドリンクも含めたドリンクメニューのディレクションから、レシピ開発、バリスタトレーニングとオペレーション構築を担当しています。日本橋のParkletは堀留児童公園という公共の場と接続していることから小さなお子さん連れや年配の方も多いため、多種多様なドリンクメニューを用意しましたMassifは極力シンプルに構成することで、よりコーヒーに焦点があたるようにしています。

エスプレッソはOverview Coffeeで唯一のブレンド〈ESPRESSO〉を使用しています。ホンジュラスをベースに、エチオピアが華やかなアクセントになっています。エスプレッソ単体で飲むと甘く落ち着いたトーンで、ミルクと合わせると適度なボディと滑らかな質感が印象的です。ブラックコーヒーは日替わりで、〈LATIN AMERICA〉や〈AFRICA〉〈EARTHRISE〉を提供しています。

Massifのメニューディレクションを通じた新しい取り組みとして、ミルクにフォーカスしています。まず通常のミルクのほかにオーツミルクを用意していますが、オーツミルクはオプションではなく、どちらも同じ価格で選択できます。実際にオーツミルクを選ぶ方が目立つのは取り組みによってみることができる景色だと感じました。

また、ミルクも環境負荷の低減を重視し、〈あすなろファーミング〉という北海道の上川郡清水町で農薬や化学肥料をいっさい使わず、土づくりと動物福祉を配慮した酪農方法で生産されたものを採用しています。

コーヒーを通じて環境負荷を低減することがOverview Coffeeのミッションですが、コーヒーの栽培方法を見つめ直すと同時に、ミルクや資材の選定、消費国側での循環を意識しています。Massifは独自のコンセプトがある店舗でありながら、同じチームで店舗を立ち上げたからこそコーヒーパートはOverview Coffeeを深く表現しています。

また、毎朝店内で作られるペイストリーとコーヒーの組み合わせを楽しめるところも、コーヒーショップとは違った大きな特徴です。クロワッサンやパンオショコラ、ガレットやタルト、キッシュと、軽食からスイーツまで、

MassifのコーヒーパートをリードしたOverview Coffee Japan代表・増田のおすすめはあすなろファーミングのミルクを使ったマキアートとクロワッサンです。どれもシンプルな素材で自然本来の味を楽しめる、体への負荷が少ない点がMassifとOverview Coffeeのコラボレーションを表現しています。


開業サポートに関するご質問、Massif・Overview Coffee チームの採用についてはお問い合わせからから承っています。お気軽にご連絡ください。


Massif

営業時間:Cafe 8:00 - 12:00 | Lunch 12:00- 16:00
     Dinner 18:00 - 22:00 (L.O. 21:30)  | Bar - 23:00 Close
定休日:日曜・月曜(2023年10月以降変更の予定)
住所:〒153-0043 東京都目黒区東山3丁目7-1
Web:https://www.massif.tokyo/
SNS:https://www.instagram.com/massiftokyo/