Meet Tomoya Yazaki

Meet Tomoya Yazaki

OVERVIEW COFFEE JAPANのメンバーを紹介する企画

第二弾はコミュニケーションマネージャーとして、パートナーカフェのサポートやイベントの企画、記事のライティングなどを担当している矢崎智也です。焙煎所がある瀬戸田ではなく、東京を拠点にパートナーのケアや、新たに店舗を立ち上げる方々のサポートとして動いています。山の近くに住み、時間を見つけてはライフワークのトレイルランニングを楽しむ一面を持っています。

Overview Coffeeのイベントを企画・運営しているので、見かける機会もあると思います。



About Tomoya Yazaki

Overview Coffee(以下OVC)の矢崎智也です。

パートナーとしてOVCのコーヒーを取り扱っていただいているカフェやレストランのサポートや、イベントの企画・運営を担当しています。実店舗がないこともあって、イベントのコーディネートからはじまり、当日に来てくれた方とのコミュニケーションは良い刺激になっています。イベントでは、よく「広島から来たんですね?」と聞かれることが多いですが、僕は東京を拠点にしています。そのため、首都圏で開催するイベントにはいることが多いので、見かけたら声をかけてください。同様に、東京を中心として、OVCのコーヒーを提供しているお店に伺って、コーヒーを飲ませていただきながら味わいについてディスカッションをしたり、レクチャーを行うこともあります。

また、ジャーナルのライティングやNewsletterの発行、SNSコミュニケーションも担当しているので、一方的な発信ではなく、顔は見えないながらも双方向のコミュニケーションとなることを大切にしています。オリジンの紹介や、抽出レシピ、イベントレポートや環境にまつわるトピックなど、幅広いテーマを取り扱っているので、自分の学びにもなるライティングは意義深いです。

趣味、という以上のライフワークとして10年以上トレイルランニングを続けています。東京都民ですが登山道から徒歩数分に住んでいるので、山に囲まれて日常的にトレイルに出入りしています。自然と接した環境にいると、都市にはない変化を日々感じることができます。東京とは言え、山に入れば野生動物に会い、台風の後には倒木がトレイルを塞ぎます。トレイルランニングを通じるなかで、気候変動を身近に感じることが増え、仕事を通して何かアクションができないか考えた結果、2022年春にOVCに加わりました。



これまでのキャリアと好みのコーヒー

コーヒー業界に携わるようになって約8年になりますが、そのほとんどをバリスタやロースターと言ったポディションではなく、マイクロロースターでは馴染みの薄いセールス・マーケティングという役割を担ってきました。OVCでは、これまでの経験をベースにしながら、さらに幅広く活動できるところが、楽しみであったり、良いチームだと実感しています。

これまでのキャリアではセールス・マーケティングという役割でありながら、バリスタやロースティング、プロダクションなど現場の仕事も満遍なく経験することができました。スペシャルティコーヒーに携わるということは、表現する味わいから逆算して抽出理論や、焙煎、または店舗オペレーションや機材選定が行われると理解しています。その点、味わいを生む環境に長くいた経験は、カフェやレストランでコーヒーを取り扱うパートナーをサポートする上で、総合的なコミュニケーションをするために自分自身の基礎となりました。

抽出には抽出の、焙煎には焙煎特有の技術があるように、コミュニケーションを起点に味わいの表現をサポートすることは、自分の性分にあった役割だと感じています。コーヒーを飲んで得ることができる感情は、あるお店で得ることができる体験の一部であることだと思っています。お店として表現したい抽象的な体験と、カップクオリティという具体的な体験、その文脈を上手く結び付けられるようなサポートができるように意識しています。

ここまでコーヒーが好きになった背景として、学生の頃に飲んだエスプレッソがコーヒーの原体験としてあります。液量に対していつまでも長く続く余韻に特別なものを感じました。そこから、当時はまだほとんどなかったエスプレッソマシンを設置したカフェを探しては、飲みに行くことを趣味にしていました。今でもお店に行くとエスプレッソを頼むことが多いですが、コーヒーの楽しみ方としては、気になるコーヒー豆を買って家で自分で淹れて飲むことが多くなりました。フィルターコーヒーが持つ液体としての質感や、風味の多様さを自分の舌で理解できるようになってからは、楽しみ方が広がりました。


OVCが取り扱っているコーヒーの中では、〈AFRICA〉としてリリースされるエチオピアです。エチオピア特有の紅茶のような味わいや、柑橘系の果実感は、時間帯や季節を問わず身体に馴染むものがあります。特に、朝や春先には自分にとって最高な一杯です。誰が飲んでもエチオピア特有の風味が感じられる産地でありながら、エリアやロットごとに微妙に異なるニュアンスを持っているところも好きな理由です。

これは個人的に感じる要素かもしれませんが、OVCのコーヒーは濃度感はそれほど高くなく、そして風味の複雑性を追求するよりは、もっと身体に馴染むかどうかという舌だけではない身体感覚的な味わいがあります。それを支えるものとして、アロマの要素が大きいのではないかと、エチオピアを飲むたびに想像しています。

 

 

アウトドアフィールド、環境問題との関わり

 時間が許すなら一日中、山で動き続けていることが好きです。早朝でも、夜でも、時間を問わず、一人で山を走っていると、動物に出くわしてヒヤッとすることもありますが、その緊張感も含めて、自分も自然の一部であることを実感します。身体性が高くなるほど、行動範囲が広がるところも良いです。年に1度はトレイルランニングの大会に出場しますが、100kmを超えるカテゴリを好んでいます。ゆっくりと、長く、自然の中で動き続けることが好きです。

トレイルランニングをはじめて、このアクティビティへの深度が増すほどに、環境や生態系と言う言葉が身近に感じるようになりました。例えば、山に入ってしまえばそこは自然でありながら、人が作った道は整備をし続けないと荒廃するケースも多々あります。台風によって倒木が起こる事自体は自然現象と言えますが、それによってどう地形が荒れるかについては、人の関与の仕方が影響することが少なくありません。同様の問題は他のアクティビティや、自然環境にもあるはずです。アクティビティだけではなく、トレイルの整備をしていると、そのような背景に気づくことがあります。

環境問題の改善に寄与したいと考えたとき、本業として携わるかプライベートで団体に所属する以外にも、いくつも方法はあるはずです。自分がOVCに加わったように、仕事の主軸は同じでもよりコミットメントの高いブランドに身を置くことや、同じ仕事環境のなかで身の回りの小さなことから改善していく方法もあります。また、同じ課題意識をもった他業界のプレイヤーと協力し合えることも重要で、その素地があることがOVCの個性だと実感しています。

 

これからの取り組み

業界を問わず、ともにより良い変化を生める方々との出会いや、そこからはじまる何かについては常に楽しみにしています。それがパートナーのお店であれば、意義のあるイベントを一緒に開催することであったり、他業種の方であれば個別具体の問題を共有して、課題を解決できる関係性をつくることが仕事を通した楽しみです。

また、昨年導入した生分解性バッグの回収と堆肥化のプログラムを確立することは、個人的な課題感として持っています。関連した課題として店舗から排出されるコーヒーカスをゴミとして処分せずに、堆肥化やアップサイクルする方法を探っていきたいです。焙煎所がある瀬戸田ではコーヒーカスを堆肥化していますが、取り扱い店舗の多い東京での最適解を導きたいです。



プロフィール

矢崎 智也(やざき ともや)

2022年2月より、コミュニケーションマネージャーとしてOverview Coffeeに参画する。東京を拠点に、パートナーのサポートや、企業間コミュニケーション、情報発信を担当する。ライフワークのトレイルランニングでは、走行距離100kmを超えるウルトラディスタンスの大会に定期的に出場しているほか、ポッドキャストの出演やランニングにまつわるライティングにも精を出す。生活の多くをコーヒーとランニングに集中させている。

Text : Tomoya Yazaki
Photo : Akira Yamada, Max Houtzager