Partner Cafe Interviews - Vol.2 Lug Hatagaya
Overview Coffeeではローストしたコーヒー豆を自社店舗で使用するほかに、飲食店やホテル、グローサリーストアなどのパートナーにもご利用いただいています。今回はインタビュー形式でパートナーの特徴や、Overview Coffeeとの関わり、オススメのコーヒービバレッジやレシピについてお聞きしました。
第二回のゲストは東京・幡ヶ谷のビストロ・カフェ 〈Lug Hatagaya〉から、バリスタのNobuさんです。Lug Hatagayaに加入以来デイタイムの顔として日々コーヒーを提供しているNobuさんですが、スキルフルなバリスタとして業界で知られた存在です。今回は、Overview Coffeeとの関わりや、コーヒーに対する情熱を伺いました。
Overview Coffee : Nobuさんがコーヒーに興味を持ったきっかけや、Lug Hatagayaについてお聞かせください。
Nobu : 東京・幡ヶ谷のビストロ・カフェ〈Lug Hatagaya〉でバリスタを担当している白井伸之です。Lug Hatagayaは15年ほど前にオープンして何度か移転した後、現在の場所での営業は8年目に入ります。朝8時から夜24時まで、時間帯によってコンセプトを変えて営業をしています。僕が担当しているデイタイムは、美味しいコーヒーはもちろんですが、朝早くから朝食やお菓子をご用意しています。夜はナチュラルワインを中心に、ワインと相性の良い料理を提供しています。このお店の魅力は美味しいものが何でもあることで、コーヒーやワイン以外ではビールをタップでご用意していますし、お菓子は生菓子から焼き菓子までをパティシエが作っています。シェフが作る料理は無農薬野菜を中心に使っていて、モーニングもランチタイムも美味しいです。
僕がコーヒーに目覚めたきっかけは2016年で当時19歳だったんですが、当時行ったノルウェーの首都オスロで飲んだコーヒーがきっかけでした。その時に飲んだコーヒーはしっかりとした果実味があって、今まで飲んだことのないコーヒーの味でした。正直、飲んだ瞬間は美味しいか判断がつかなかったんですが、未知の体験だったとこや、そこで出会ったバリスタ、お店の雰囲気も含めて、一気にコーヒーに興味を持つことになりました。
当時はブレイクダンスに熱中していて東京を中心に活動しながら世界を目指していたんですが、オスロに行った理由もブレイクダンスのコンペティションに出るためでした。そこで何気なく飲んだコーヒーに衝撃を受けて一気に興味が湧きました。コーヒー業界に入ることを決心して、帰国後すぐにバリスタを目指しました。それから現在まで、バリスタをメインとしながら、焙煎やクオリティコントロールなど、関連する仕事を一通り経験することができました。Lug Hatagayaには2022年に加わり、日々美味しいコーヒーをチームで提供することを心がけています。
Overview Coffee : Overview Coffeeを取り扱うきっかけや、使用している機材についてお聞かせください。
Nobu : Overview Coffeeのメンバーが以前の職場の同僚だったことがある他に、それだけではなくブランドとしてのヴィジョンに共感し、僕らも日々の営業を通して環境に還元したいと思ったことが大きいです。僕が加わる以前からお店でコーヒーを提供をしていましたが、スタッフによるスキルのばらつきや、機材の老朽化もあって、全体の見直しを担当させていただきました。
いくつか候補にしているロースターのコーヒーをテーブルに並べて、スタッフ全員でブラインドカッピングをしたところ、Overview Coffeeのコーヒーを好むメンバーが多くいたこともあって、パートナーとして取り組みをはじめることに決めました。ライトローストではあるものの、浅すぎずバランスの取れた焙煎であるので、抽出の安定性や飲む人を選ばないという点も良かったです。
同じタイミングでエスプレッソマシンをLA MARZOCCOのLinea PBに、グラインダーはMAHLKONIGのEK43に入れ替えました。機材の選定や設置についてもOverview Coffeeに協力してもらって、「誰でも、安定して、美味しいコーヒーを提供する」という目標に近づくことができました。
Lug Hatagayaはコーヒー専門店ではありませんが、質の高いコーヒーを日常的に提供することを大切にしています。そのためにはコーヒー豆の個性があることはもちろん重要ですが、スタッフが機材に慣れて安定して抽出することも重要です。入れ替わった当初は戸惑いもありましたが、トレーニングの甲斐もあって現在は表現の幅が広がっています。
Overview Coffee : これまでOverview Coffeeが取り扱ってきたコーヒーのなかで好きなオリジンは何ですか?
Nobu : 一番記憶に残っているのは2023年の導入時期に飲んだ〈AFRICA〉エチオピアのAricha(アリーチャ)です。エチオピアは水分値が高いこともあって抽出が難しい印象がある産地です。また焙煎度合いが浅すぎるとティーライクなニュアンスが強くなりすぎて他のフレーバーがぼやけやすく、深すぎるとエチオピアの持つ透明感が失われてしまいます。
Overview Coffeeが焙煎するエチオピアは、スウィートネスがしっかりとあるのでバランスが取りやすいです。他のエチオピアでは表現が難しいボリュームある果実感と、エチオピアらしい華やかさのバランスがとても印象的です。
Overview Coffee : Lug Hatagayaでオススメのコーヒービバレッジとレシピをお聞かせください。
Nobu : どれもオススメですが、ご注文いただくことが多いという意味ではプアオーバーでしょうか。
コーヒーの産地個性が表現できていることはもちろん重要ですが、液体としての質感も同じように大切にしています。プアオーバーではHARIOのV60と、CAFECのアバカフィルターを主に使用しています。コーヒー豆によってレシピは変えますが、このようなものをベースにしています。
・コーヒー豆 15.0g
・お湯(94℃目安) 250g
・中挽きより若干粗め
・抽出時間 1:55〜2:15(落ちきり)
- 初投は50g注ぎ、1分間蒸らす。
- 2投目は1分経ったら20秒以内に200gまで注ぐ。
- 3投目は1:30の時点で250gまで注ぐ。
- 注いだお湯がサーバーに落ちきったら抽出完了。
一般的な基準よりも湯温は高い94℃で、かつ若干粗い挽目ということで抽出スピードが速いです。抽出する時は液体としての質感や濃度感を最も重視していますが、その上でフレーバーをしっかりと出すために比較的速い抽出にしています。
Overview Coffee : 競技に出場するなど店舗にとどまらない活動をされていますが、最後にバリスタとしての活動や今後の展望についてお聞かせください。
Nobu : 前職時代からJBC(ジャパンバリスタチャンピオンシップ)という、エスプレッソビバレッジに特化したコンペティションに出場しています。そこでは、味わいに対する客観的な評価から、バリスタとしてのアイデアやホスピタリティまで総合的に評価されます。この大会で優勝すると日本代表として、WBC(ワールドバリスタチャンピオンシップ)に進むことができるんですが、日本は優勝者や入賞者を多く輩出しているレベルが高い国です。
今年はついに予選を通過して準決勝に進む14人に残ることができました。10月に開催される準決勝と決勝にむけて準備を進めているところです。コンペティションに出場することで、自分自身のコーヒーへの理解を高めることができますし、コーヒーの美味しさを明確に表現することでお客様(またはジャッジ)と感動を共有できるようになりたいです。競技ではありますが、競技を目指す過程は日常の営業が積み重ねとなっていることを実感します。
コーヒー業界に入った時点で、世界を目指したいという気持ちがありました。仕事を続けていく中でその想いは明確になっています。それはコーヒーのクオリティや、コーヒーを通じた社会・環境への還元という点です。クオリティを追求することで、コーヒー業界を超えてフードインダストリー全般との架け橋となれる可能性があります。また、バリスタは生産者と消費者をつなぐ存在であるからこそ、産地との交流や還元ができるはずです。そのためにはまず自分自身に説得力がなければはじまりません。若い世代のバリスタとして、コーヒー業界に新しい価値を生み出せるようにまだまだ努力する道が続いています。
Lug Hatagaya
営業時間:8:00 - 24:00
定休日:月曜・火曜日
住所:〒151-0072 東京都渋谷区幡ヶ谷2-19-1
Web:https://lug-hatagaya.com/
SNS:https://www.instagram.com/lug_hatagaya/