Overview Coffeeのエスプレッソ
エスプレッソの魅力と言えば、何といっても凝縮された液体特有の風味の強さや、ねっとりとした質感が生むボディの甘さ、そしていつまでも続く鼻から抜ける余韻の長さです。たった20mlほどの少量の液体のなかに複雑な風味と甘さが混ざり合う、他のどんな飲料とも異なる独特な体験です。衝撃的なエスプレッソ体験がきっかけとなってバリスタを志すようになったというエピソードも決して珍しくはありません。
コーヒーショップやカフェに立つバリスタの朝一のルーティンはエスプレッソのレシピ調整からはじまります。普段設定しているレシピをもとに一度抽出し、その日その瞬間最適なバランスに微調整を行います。口の中で広がる風味の強弱や濃度感、余韻のバランスなどを総合的に判断し味わいを整えていきます。
エスプレッソにお湯をたせばアメリカーノになり、スチームしたミルクを加えればカフェラテが完成します。何を加えたとしても、美味しいエスプレッソビバレッジは原液となるエスプレッソが重要です。
エスプレッソは使用する産地やローストレベルによって味わいが異なるのはもちろんですが、同じコーヒー豆を使用していても店舗ごとに、そしてバリスタごとにバランスは様々です。店舗レベルで言えば使用している機材によって味わいのバランスは異なるほか、水質がもたらす要素も大きいです。また、アメリカーノやカフェラテの場合は、使用するカップサイズによってコーヒーの濃度感は様々です。産地やローストレベル、店舗が求めるバランスを理解しながら各バリスタは調整をしますが、もちろん個人によって最適と捉えるバランスは多少なりとも差異があるので、ニュアンスの表現や再現性はバリスタの感性やスキルに寄ります。
Overview Coffeeでは設立以来、エスプレッソはブレンドを使用しています。また、私たちが普段から使用している同じブレンドを、パートナーのカフェやレストラン向けに提供しています。ゆっくりと時間をかけてお湯を注ぐドリップコーヒーと異なり、エスプレッソは高い気圧をかけて20〜30秒ほどの短い時間で一気に抽出します。そのため、エスプレッソマシンで抽出した時に最適な風味のバランスとなるようにブレンドをしています。
ブレンドで使用するコーヒー豆の産地や、配合は時期によって異なりますが、基本的には〈LATIN AMERICA〉として提供しているホンジュラス・マルカラエリアのCOMSAをメインに、エチオピアを加えて味わいのバランスを調整しています。ホンジュラスが持つ落ち着いたトーンの甘さとナッツのような風味をベースに、エチオピアが持つ果実感や華やかな香りがアクセントになっています。
基本的には中浅煎り程度のローストレベルを狙っています。理想的なエスプレッソのバランスとして、まず甘さや舌触りの滑らかさ、柔らかく広がる印象を重視しています。「エスプレッソ = 強い・苦い」という印象を持つ方は少なくないかもしれませんが、その原因は過度な焙煎からきていることは少なくありません。Overview Coffeeのエスプレッソブレンドは、ドリップやフレンチプレスで飲んでも柔らかい印象や落ち着いた甘さを感じていただけます。
ミルクと合わせた時のバランスはとても大切にしています。コーヒーがもつ風味を活かしながら、ミルクがもつ甘さを引き立てるような相性を重視しています。これがローストレベルが深くなるほど、ミルクと合わせた時のボディの強さはでるものの、焼けたような風味や、油分による重たい印象がでてしまいます。エスプレッソ単体やアメリカーノにした場合、その印象はさらに強くなります。
コーヒーがもつ風味を活かしながら、適切に焙煎をすることで安定した抽出が可能になると考えています。それはシャープな酸質を緩和する狙いであったり、コーヒーがもつ甘さを引き出しやすくなります。特に、パートナーの業態や関わるスタッフの経験値、バックグラウンドも様々ななかで、どんな機材や環境でも、どんなバリスタでもある程度調整がしやすく、ストライクゾーンの幅を確保することは重要です。
同じ理由から、産地やブレンドの配合が変わっても、同じような味わいになることを心がけています。まず第一に、パートナーを含めたどんな環境でも安定して美味しいエスプレッソを抽出することを優先させています。
また、Overview Coffeeにとって最も重要な、リジェネラティブ・オーガニックを推進するという意味で、特定の生産者と長くパートナーシップを育み、土壌への負荷が低い農法で生産されてコーヒーの使用量を増やすことは何より価値があります。消費量の多いエスプレッソで、ブレンドのメインにホンジュラスのCOMSAを採用することは、Overview Coffeeのミッションを体現することであり、また、未来への投票という意味を持ちます。
〈用意するもの〉
・エスプレッソマシン
・エスプレッソグラインダー
・タンパー
・ディストリビューター
・スケール
・タイマー
・ショットグラス
〈エスプレッソのレシピ〉 ダブルショット(業務用マシンのレシピ)
・コーヒー豆 20.0g
・抽出量 40.0g
・抽出時間 28秒 ± 3秒 目安
・温度 92度
・気圧 8.5 - 9気圧
〈ステップ〉
- ポルタフィルターをスケールに乗せ、重量を「0g」にする。
- エスプレッソグラインダーからバスケットに直接ドーシングする。
- バスケットにドーシングしたコーヒー豆の量をスケール上で20.0gに調整する。
- ディストリビューターを使って、挽いたコーヒー豆の高さを均一にならす。
- 均一にならしたコーヒー豆を、タンパーを使って均一にタンピングする。
- エスプレッソマシンの天板に抽出量計量用のスケールを置き、その上にショットグラスを乗せて重量を「0g」にする。
- 抽出前にエスプレッソマシンから数秒お湯を排出し、抽出口のあたためと清掃をする。天板に落ちた排出したお湯を拭き取る。
- ポルタフィルターをエスプレッソマシンにセットし抽出ボタンと、抽出時間を計測するためのタイマーを押す。同時にショットグラスを乗せたスケールを抽出口の下に素早くスライドする。
- 抽出量が40.0gになるタイミングで、抽出ストップボタンを押す。
- ショットグラスに抽出したエスプレッソを提供用カップに移して完了。
〈アドバンス〉
・「抽出時間 28秒 ± 3秒」が目安となります。季節や気温、機材や抽出環境によって最適な時間は異なります。
・抽出時間から大きくはずれる場合、まずは挽目の微調整を行います。
・挽目だけでの調整が難しい場合、つぎに抽出量の増減で微調整を行います。
・エスプレッソマシン、グラインダーの性能によって最適なレシピや挽目は異なります。
Overview Coffeeのエスプレッソビバレッジは以下のパートナーショップでお楽しみいただけます。
Echoes 宮城県 | 仙台市
agnes b. 東京都 | 渋谷・銀座 京都府 | 京都駅・祇園
BRING CIRCULAR TAKAO 東京都 | 高尾
CIRTY CAFE 東京都 | 代官山
Lug Hatagaya 東京都 | 幡ヶ谷
Massif 東京都 | 池尻大橋
nephew 東京都 | 富ヶ谷
Parklet 東京都 | 日本橋
Sunday Bake Shop 東京都 | 初台
Big Baby Ice Cream 神奈川県 | 新丸子
Hotel Noum 大阪府 | 大阪市天満橋
Azumi Setoda 広島県 | 瀬戸田
MINATOYA 広島県 | 瀬戸田
ef 沖縄県 | 那覇市
お近くのパートナーショップで、ぜひエスプレッソビバレッジをお楽しみください。
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専門のスタッフが承りますのでお気軽にご連絡ください。