EARTHRISE Vol.04 - コスタリカ

EARTHRISE Vol.04 - コスタリカ


四季のコーヒー <EARTHRISE>

グリーンのパッケージEARTHRISE(アースライズ)は、四季(夏至・冬至・春分・秋分)ごとに変化する季節限定のコーヒーです。特定の産地に絞らず大陸を横断し、季節ごとに、コーヒーの多様さを表現しています。また、小規模生産者に焦点を当て、農園での土壌の健康を促進する活動を支援しています。

4回目となる今回は、中米でも有数の安定した政治・経済基盤に支えられ、高品質で多様なコーヒーを生産するコスタリカから、Hacienda La Amisted(アシエンダ・ラ・アミステッド)農場のコーヒーです。コスタリカ南東部でパナマとの国境に位置するLa Amistad自然保護区域に隣接するエリアの生産者、Roberto Montero(ロベルト・モンテロ)さんの思想や生産背景をご紹介します。

梨やマスカットのようにみずみずしく、透明感があるコーヒーを楽しみながらご覧ください。

 

コスタリカ <アシエンダ・ラ・アミステッド>

ロベルト・モンテロは祖父の代から続く、3代目の生産者です。中米最大の自然保護区ラ・アミスタッドに隣接し、一家が所有している4000ヘクタールのうち、300ヘクタールは有機栽培に専念しています。残りのほとんどは森林に覆われ、野生動物が生息して、自然環境と調和したコーヒー農場を運営しています。

現地住民への仕事の提供や、従業員への教育、子どもたちへの学用品提供と、教育や福祉にも熱心です。パナマとの国境に近いことから、収穫時期になると多くの先住民を迎えいれ、仕事のほかに住宅や医療を無償提供しています。生態系への配慮だけではなく、社会への還元をする彼の人柄は、コーヒーの味わいからも感じることができます。

ロベルトさんの生産方法は、ラ・アミスタッド自然保護区が潜在的に持つ成分を活用することが特徴です。有機肥料の基本となるコーヒーパルプのほかに、二次利用されたのちに焼却されたパーチメントの灰、鶏や乳牛の糞尿を混ぜ合わせています。森の微生物やミミズによって堆肥は精製され、健康的な土壌を保っています。

さらに、森から湧き水をひき、ウェットミルとドライミル(精製所)のタービンを通過します。この水は牧草を灌漑するために使われ、そこで育成された乳牛のミルクは有機チーズに加工されています。コーヒーのほかにはバナナ、マンゴー、パパイヤ、パイナップルが間作され、オーガニックのドライフルーツとして輸出されています。

コーヒー、特にアラビカ種にはさび病という脅威があります。ロベルトの農園の場合、ラ・アミスタッド自然保護区に隣接し、さらに豊富な有機肥料により、豊かな土壌が形成されていることで、サビ病の被害が少なく、有効な事例として注目を集めています。年に5回、自ら生産した有機肥料の施肥によって、健康な土壌から高い収量を見込むことができます。質の高いコーヒーを生産するだけでなく、土壌や周辺環境への負荷を下げ、収益性に結びついています。

 

生産国:コスタリカ
エリア:Coto Brus, Puntarenas
生産者:Roberto Montero
品種:Cattura, Catuai
精製方法:Washed
標高:1200 - 1500m
認証:USDAオーガニック

□ 梨やマスカットのような果実味
□ みずみずしく、透明感のある質感

 

COSTA RICA



コスタリカのマクロミル革命

隣国のパナマと並び、中米有数の安定した情勢と経済に支えられているコスタリカ。人口約500万人のうち、半数近くが首都サンホセと周辺の都市圏に暮らしています。国家が教育を重視し、高い教育を受けた労働者が多いことでも知られています。現在は、コンピューター部品の輸出や、製薬、観光、そして金融が経済を支えています。1960年代以降外資導入による工業化が進み、農業国から工業国となって中米ではパナマの次に豊かな国となっています。

太平洋とカリブ海に面しているコスタリカは、国土を横断する火山帯によって標高差のある地形が特徴です。国立公園・自然保護区の総面積は全国土の1/4を超え、生物種のうち5%が生息すると言われ、環境保護先進国として注目されています。また、熱帯雨林が国土の40%以上を占めており、コーヒーの木を栽培するのに適した環境です。

コスタリカは中米で最も早くコーヒーの栽培を開始しました。1821年にスペインから独立を宣言した際、地方自治体ではコーヒーの種を無料で配布し、生産を推奨されたと記録されています。コーヒーを免税対象として栽培を広げたほか、土地の所有権を与える法令を整えました。コーヒーで稼いだ外貨でインフラが整備され、鉄道が建設されたことで国家が躍進しました。このような背景から、生産人口約5万人のうち、約90%が5ヘクタール未満の小規模農園を形成しています。

政府はコーヒーの生産者団体からの要望によりコーヒー保護協会を設立し、小規模生産者を守る制度を整えました。仲介者や、大規模な精製業者が得られる利益を制限し、小規模生産者を保護しました。現在は、コスタリカ・コーヒー協会として、試験的に研究農園を運営したり、コスタリカ産のコーヒーを世界に宣伝しています。

小規模生産者への支援や、インフラ整備が後押しし、コスタリカは<マクロミル革命>と呼ばれる独自の発展を遂げました。通常、コーヒーチェリーの収穫後は精製所で、水洗・乾燥・脱穀等のプロセスを経て出荷されます。コスタリカの生産者は各自の小規模精製所を持ち、各々で精製処理を行うようになりました。これにより、実験的なプロセスを試したり、管理の質が向上し、トレース可能な質の高いコーヒーを生産できるようになりました。付加価値が高まり、世界中のバイヤーと直接取引することができるようになっています。

コスタリカと言えばハニープロセスが有名ですが、今回のHacienda La Amistedはウォッシュドのコーヒーです。酸味は控えめで、梨やマスカットのような清涼感のある果実味が印象的です。また、ブラウンシュガーのようなまろやかで控えめな甘さを感じていただけます。